第52回フォーラム
「南極と科学技術」


日時:2018年8月18日(土)

講演1
「なぜ南極の海の研究をするのか?」
中山佳洋(Yoshihiro Nakayama)
Jet Propulsion Laboratory


要旨:世界の海の中で、南極海は最もわかっていない。どの大陸からも距離が遠いだけでなく、氷山、海氷、ブリザードといった厳しい気象条件が南極での現地観測を困難なものとしている。しかし、南極は気候変動を考える上で重要と考えられている。今回の発表では、「南極はどういうところなのか?」、「南極の研究はどのように行われているのか?」、「NASAはどのように南極の研究を行なっているのか」といった基本的なことから、「南極は気候変動を考える上でどうして重要なのか?」といった発展的なことまで幅広く紹介する。

名古屋大学工学部機械航空工学科卒業(2009年3月)。修士課程から地球物理、特に極域の海洋の研究を始める。北海道大学環境科学院(2011年3月卒業)。博士課程のため渡独しAlfred Wegener Institute,Helmholtz Centre for Polar and Marine Research/University of Bremenにて西南極、特にアムンセン海の研究を始める(2015年2月卒業)。2015年7月より渡米し、University of California Irvine を経て、現在Jet Propulsion Laboratoryでポスドク研究員。2018年11月より、北海道大学低温科学研究所にて助教就任予定。

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講演2
「日本の科学技術の現状とこれからについて考える」
近江麻美(Asami Chikae)
文部科学省平成29年度派遣長期在外研究員(UCLA公共政策学)


要旨:科学技術イノベーションは世界を変える。一世代前は携帯電話も無かったのに、今では「空飛ぶタクシー」も現実味を帯びる世界になってきている。科学技術立国として世界各国から認められた日本製品クオリティは今も健在だ。しかし、財政的制約や学術論文の量・質の低下、人材流動性・多様性の不足など、日本の科学技術は様々な課題に直面しており、政府の中でも問題意識が高まっている。グローバル化する社会の中、日本が世界の頭脳循環に入り込み生き残るためには何が必要なのか?ノーベル賞受賞者がいかに研究に勤しみ、受賞に至ったのか?イノベーション創出における大学の役割とは?今回のトークでは、日本の科学技術にまつわる現状と課題、そして文部科学省と内閣府において政策の企画・立案に携わってきた経験から感じてきたことなどについてご紹介したい。

略歴:1987年石川県生まれ。父親は薬剤師、母親は大学バイオ系研究員の理系家族に生まれる。2008年石川工業高等専門学校電子情報工学科、2010年大阪大学基礎工学部電子物理科学科卒。卒業後、文部科学省に入省し、基礎研究や材料・ナノテク研究の振興などに携わる。2016年内閣府科学技術部局に出向後、2017年より現職。趣味はテニス、スキューバダイビング、異文化交流。