化学賞「クロスカップリング反応解説 ~有機合成化学の視点から~」

有機化学(organic chemistry)は「C」(炭素原子)が主役の学問です。そして、有機合成化学(synthetic organic chemistry)は炭素原子でできた有機化合物を繋げ合わせる研究であり、有機化学の一大分野を形成しています。本年度のノーベル化学賞は、炭素と炭 素を結びつける、クロスカップリング反応が受賞対象となり、まさに有機合成化学の「正攻法」である研究が評価されたと言えます。そして喜ばしいことに、日 本人の鈴木章先生、根岸英一先生が受賞者に選出されました。本講演では、有機合成化学の研究者が、どのような視点で研究を進めてゆくのかについてご紹介し た後に、受賞対象となった研究の革新的な点について解説していきたいと思います。

 

与那嶺 雄介, Ph.D.
Postdoctoral Fellow
Department of Chemistry
University of California, Irvine

経歴: 20103 東京工業大学大学院 生命理工学研究科にて博士(工学)取得。20104月より現職。生体分子と相互作用する、合成高分子の微粒子開発に従事している。